スタフ・シュムスキー 展
高松芸術港 Project Roomでは、6月からポーランドの現代美術作家:スタフ・シュムスキーの個展が開催されます。LightSeed Galleryからの巡回展となり、本展のために再構成された個展となります。
1992年グダニスク(ポーランド)⽣まれのスタフ・シュムスキー(Stach Szumski )は、先史時代の壁画、新⽯器時代のペトログリフや中世のシンボルから、現代のグラフィティや解体されたロゴタイプまで、⼈々のコミュニケーションに使われてきた図像的モチーフを引⽤し、解体して作品にしてきました。その作品はペインティング、ドローイング、彫刻、インスタレーションなど様々な⼿法によって制作されてきましたが、近年アーティストが集中して取り組んでいるのが今回展示されているジャカード・テキスタイルを取り⼊れた作品です。
ジャカード織は1804年、フランス・リヨン市に⽣まれ育ったジョゼフ・マリー・ ジャカールによって、最も初期のプログラム可能な織機として発明されました。当時の皇帝ナポレオン・ボナパルトはジャカード織機に関する特許をリヨン市に与え、⾒返りとしてマリー・ジャカールは⽣涯続く3000フランの年⾦と、ロイヤリティを受け取ることになりました。その織機は、IBMが現代のコンピュータを開発するために使⽤したデジタルコンパイラの初期バージョンなど、他のプログラム可能な機械の開発にも重要な役割を果たしました。
シュムスキーによればジャカード・テキスタイルの制作は、絵画や写真のようなアナログ作品を、原始的な低解像度のデジタル・ユニバースに持ち込む経験であり、テキスタイルの物質性は、シュムスキーの作品に新たな美的フェーズをもたらすものでした。この技術は、形、⾊のつながり、テクスチャーの最⼤限の多様性を実験し、⾃律的な作品制作のプロセスを無限に続けることを可能にするとアーティストは考えています。
今回シュムスキーは、2024年にワルシャワのギャラリーで初めて発表されたジャカードによる作品シリーズの新作を制作・展⽰します。
テクノロジーと⼈間の関係性への独⾃の視点と、視覚的コミュニケーション・ツールを⼤胆に⽤いた図像として提⽰するアーティストの新たな試みをご覧いただける機会となるでしょう。